会長挨拶



高尾 憲二(釧路市立城山小学校 校長)


 私たち釧路生活科・総合的な学習研究会では、生活科・総合的な学習の時間の充実を通して、学ぶよさを実感し、未来を拓いていく子どもを育てたいと考えています。加速度的に進展する変化の激しい社会において、子どもたちに主体的に生きる力を育むためには生活科や総合的な学習の時間の充実は欠かすことができません。
 次期学習指導要領の改訂に向けて中教審特別部会からその骨格が示されました。21世紀を生きる子どもたちに、「自ら問いを立ててその解決を目指し、他者と協働しながら新たな価値を生み出していくことができる」資質・能力が求められています。子どもたちが「何を知っているか」だけではなく、知っていることを活用してどのように社会や世界と関わるかが次期改訂の視点となっており、まさに、生活科や総合的な学習の時間が果たす役割が一層大きく位置づけられていると言えます。更に、各教科で育まれた力を活用できる汎用的な能力に育てていくためには、教科横断的な学びを行う総合的な学習の時間が「教育課程の構造上の工夫」として重視されています。
 そのような中、昨年の10月、本会が主管して阿寒小学校を会場に「第25回 北海道生活科・総合的な学習教育研究大会 釧路大会」を開催いたしました。釧路地区での全道大会の開催は4回目となりました。
 全道各地より200名を越える参加者をお迎えし、盛会のうちに多くの成果を残して閉会することができました。折から爆弾低気圧による荒天のため釧路市街小中学校の臨時休業の措置対応があり、持ち込みを予定していた公開授業の一部が実施できなくなるなどのアクシデントもありましたが、5本の授業を公開し、子どもの学ぶ姿を通して本会の研究を発信できたのは何より嬉しいことでした。
 本大会では、全道研究主題を受けて釧路での大会主題を「学ぶよさを実感し、未来を拓いていく子ども」と設定し、研究の視点として「3つの段階と4つの視点」を設定し、それぞれの視点について釧路としての具体的な取組を発信いたしました。会場校である釧路市立阿寒小学校の研究主題「真の問いを見出し、学びを拓く子どもの育成」と有機的に研究を絡み合わせ、全道各地、各学校での実践の輪が広がる研究と授業を提起できたのではないかと思っています。
 また、文部科学省視学官の田村 学先生からは「新しい学習指導要領の方向性とアクティブラーニング」と題してご講演いただき、生活科・総合的な学習の時間のみならず、これからの教育全般の在り方についてご指導いただきましたことは、何にもまして大きな学びとなりました。
 本会の会員相互の協働、連盟や会場校の皆様との協働の成果が、大きな研究の成果として結実したことに心から喜びを感じています。本大会を通してあらためて、これからの教育の中で生活科や総合的な学習の時間が果たす役割の大きさが確認されました。
 今後、研究を通して明らかになった課題の解決に向けて、しっかりと次の歩みを初めて行く決意です。
 生活科創設以来27年、総合的な学習の時間創設以来16年の流れの中で、今日ほど生活科、総合的な学習の時間の真価が問われている時はありません。生活科や総合的な学習の時間にかかわる提言を行うことは、取りも直さず学校のカリキュラム全体の在り方の提言であり、確かな学力を育成する提言とも言えます。
 ぜひ熱い思いで共に研究を深めていきたいと希望される先生方の参加を心からお待ちしております。

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